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GM(ゼネラルモーターズ)再上場も、株主は米国政府やカナダ政府

1年前、トヨタ自動車の急加速問題が米国で起り、トヨタの不審から
不信に移り、販売業績までも不振に陥った。
そして今回米当局が、“電子系システムに欠陥はない” との最終報
告をまとめ、メディアは問題の核心部分に迫れなかった議会公聴会
を疑問視したというのだ。
消費者の不安をあおった当時の報道姿勢への批判も目立った。

米国によるトヨタたたきは、意図的な政治的陰謀で、欠陥によるもの
ではないことは誰だって承知していた。
当時は2010年秋の中間選挙を控えていたという側面もあった。
社長が渡米し、公聴会が開かれたころの失業率は9%台後半。
トヨタ批判に立ったのは、まさしく米自動車メーカー工場を選挙区に
抱える議員が多かったという
のだから、まさに犯罪行為といっても過
言ではないだろう。

これだけではない。
トヨタリコール問題は、リーマン・ショック後に経営が傾いた米GM
(ゼネラル・モーターズ)を抜き去り、トヨタが世界販売の頂点に立っ
た直後に起きたことも忘れてはいけない。
フォードを抜き去って、77年間もトップを維持してきたGMにとって、
まさに屈辱的な敗北といってもいい。
だが実力ではなく、日本車と比べればまさに “欠陥自動車” を長年
作り続けてきた会社にとっては自業自得そのものだ。
おまけにトヨタで働く従業員の雇用も減ってしまった。

さて、そのGMが去年12月に再上場を果たした。
2009年6月(つまり四半期決算時期)に破綻したのだが、当時は約
16兆円の負債を抱えていたにもかかわらず、1年半で再び上場でき
たのだから、米国文化における自動車産業の復活は並々ならぬもの
ではないといえる。
だがこれも実力で這いあがったものではなく、トヨタたたきで復活した
という他力本願に過ぎないのだ。
ちなみにクライスラーは、まだ今のところ非上場企業である。
この復活した(どこが?)GMについては、まだ中身がよく分からない
方が多いので、再上場できたカラクリをここで知ってほしい。

金融危機前までは48あった車種を34まで削った。
とりあえず主力ブランドだけを残したのである。
また米国内工場も47ヶ所あったが、これも34ヶ所まで減らした。
さらに同国内の従業員数も6万人超いたが、これも4万人まで大幅
リストラした。
同じくして販売店も6425店あったが、3600店まで閉鎖した。

実はこれだけではない。
株主構成がいまだに国営そのものといえるのだ。
全体の6割が米国政府で、300億ドルを追加支援してもらった。
しかしあくまで追加であり、それ以前のものを合わせると、総額では
500億ドルを超えている。
また隣国のカナダ政府からも支援を仰いでおり、これが95億ドルに
も上っている。
両国政府の割合は全体の72%。
総支援額は当時の日本円で6兆円にも上る。

上場の目的は資金調達である。
これが最大の理由であるが、500億ドルの支援金すべてを回収で
きるかどうかは今後の株価動向による。
政府の損失をゼロにするには70%以上の株価上昇が必要なのだ
しかしイチ企業だけではなく、国家自体がすでに破綻に瀕している
というのに、この目的は悲惨な結末へと向かうだろう。
石油価格上昇の世界で、燃費の悪い車が売れていくわけない。
それでも抜本的な改革を起こそうとしないのだから、GMの驕りは大
したものである。
大きすぎて潰せない企業は何も金融機関だけではなかった。
裏には巨大財閥の影がチラホラしている。
トヨタいじめから業績が上向いてきたタイミングを狙って、上場できた
というのが本当のところだ。

裾野が広い自動車産業は、下請けや孫請けといった中小企業に大
きな影響を与える。
実際GMやクライスラーの破綻で多くの取引先が潰れた。
自動車部品メーカーが代表的だが、GMから分離されたデルファイと
いう部品メーカーがある。
だが早くも景気絶好調時の2005年に経営破綻したのだ。
今は自主再建中である。
これにより欧州や日本の下請け企業が活性化したが、すでに80年
代から金属加工プレス機については全部日本製。
もはやプライドもへったくりもない。

世界で認められるためには、世界で一番厳しいといわれる日本市場
で成功するかどうかにかかっている。
日本で成功している米国ブランドの電化製品では、携帯電話のアイフ
ォーンや、オーディオ機器のアイポッドだろうが、皮肉にも中身で使わ
れている部品は日本製が一番多い。
余談だが韓国メーカーにしろ、台湾メーカーにしろ、家電製品や携帯
電話、半導体などを作る工作機械は全部日本製。
中身の部品についても日本やドイツ製が多い。
残念ながら価格競争力で負けているだけだ。
消費者というのはいちいち中身を調べなくても、品質や機能性、使い
やすさなどで、自然と判断できるというのが本当のところだろう。

 ★シティアライアンス 代表兼 「ヒルザー・ドットコム」 運営者

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