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為替 円高が一段と進行 同じ時期USドル暴落は過去にもあった

海外市場で円高が進んだ。
5月5日のロンドン外国為替市場では、今年3月18日以来の1ドル80円台
の大台を再び突破したのだ。

ユーロでポルトガルの支援が発表された直後でも、ゆっくりとしたペースで
円高ユーロ安に傾いていたが、その流れを今回一気に加速させたかのように、
80円割れ、120円割れになったということだろう。
とくにユーロの下落は著しい。
野田財務大臣も訪問先のハノイで、“ 3月の協調介入時とは違う動きだ。”
と語ったが、介入については発言を避けた。

大臣が言うように、時期的に違っていることは明々白々。
なぜなら今回の円高は米国の四半期決算時期とは重なっていない。
米国中央銀行(FRB)は、今でもほぼ毎週のように米国債を購入し続けている。
しかし量的緩和の打ち切り直前ということから、先行きのマネー枯渇を危惧
している投資家が、ここへきて少しずつドル売り・株売りを仕掛けている可能
性があるのだ。
日本の震災によるサプライ・チェーン問題も影響しているかもしれない。
またこの時期の円高は、過去に1ドル79円台をつけた1995年4月19日と
よく似ている。

さて問題は、日本が再び円安介入に走るかどうかである。
去年9月15日は実に6年半ぶりの円安介入を日銀が実施。
そして今年3月17日は、欧米諸国と一緒に大規模な円安介入を果たした。
その理由としては、日本で大震災が発生した直後ということもあって、一種の
お見舞いといった意味での協調介入だったのだろう。
だが再び各国による協調介入は難しいと思える。
とにかくGW明け、週明けの日本政府の対応が注目されるところだ。

金融危機以来、USドルの落ちぶれはとにかくヒドイ。
あっという間にカナダドルや豪ドル、スイスフランの値を下回った。
商業不動産市場の回復はやや上向いてきたというが、これは量的緩和により、
マネーが以前よりは若干入ってきたということ。
反面、個人住宅への流入は全くといっていいほどない。
企業には貸し出しても、うまみのない個人へはマネーがいかない。
つまり 「カネを貸す」 という金融の原点が機能しなくなったということだ。
量的緩和策が終った後の米国経済は、果たしてどんな悲惨な出来事が待って
いるか...、 筆者も想像できないくらいである。

米国民の生活を示すイチ指標として、貧困者に与えられる公的な食糧援助策
「フード・スタンプ」 がある。
現時点の受給者がナント4442万人にも上っているのだ。
毎日1万2000人ずつ増加しているというから驚きだ。

米国が抱える慢性的な貿易赤字解消という点で、通貨安は有利に働く。
だから最大の貿易黒字国中国に対しても圧力をかけている。
しかし中国がこういった内政干渉ともいえる外圧には乗らないことは明白。
最大の米国債保有国が、その国から “通貨を高くしろ” など言われる筋合い
はないというのが本当の気持ちだろう。
当然のこと価値が目減りするからである。

しかしこれまで薄利多売で成長してきた中国も、そろそろ柔軟な為替政策に
転換していくべきだろう。
最新の米国貿易赤字は約6800億ドル。
そのうち半分の約3400億ドルが対中赤字である。
2008年の対中赤字はまだ全体の3分の1であったのが、ここへきて再び
増加しているのである。
両国ともそれぞれの言い分があるかもしれないが、不均衡を生みだしたのは
米国も中国も同じ。
米国債を売り払ったり、紙屑化になることは、中国にとって返り血を浴びる。
経済によるダメージは日本の比ではないのだ。

米国経済が衰退し、EU経済も一時的に落ちていく。
そして中国経済に本格的なバブル崩壊が襲ってくると、世界中の余剰マネー
はどうしても日本やスイスにシフトしてくる。
自分たちの資産を守りたいのは、個人も企業も同じことである。

 ★シティアライアンス 代表兼 「ヒルザー・ドットコム」 運営者

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